漢方への道



種ちゃん漢方 始まるよ



インフルエンザに漢方!その2

天津感冒片

ウイルス性のカゼ治す天津感冒片

一年で最も寒さの厳しい大寒から立春を過ぎた頃にかけては、乾燥し
た空気や温度条件によって、インフルエンザウイルスが繁殖しやすい。
 こうした外因とともに、中国漢方的に見ると、寒さの厳しいこの時期、
皮膚の表面は堅く締まっており、身体の奥に熱がこもりやすい。
 そして、陽気が徐々に活発化してくる立春以降、体内にこもった熱が
盛んになり、そこから生じる熱毒が内因となってインフルエンザが大流行
する。
この時期のウイルス性の風邪は、発熱に特徴があり、のどが腫れて
  痛む、鼻水や痰が黄色く粘る、尿の色が腫れて痛む、鼻水や痰が黄
色く粘る、尿の色が黄色い、口が渇く・・・といった熱症状を伴う。
この種の風邪は、ゾクゾクと寒気(悪寒)の強い「風寒型」の風邪に
対して、「風熱型」の風邪として区別される。
治療には、金銀花や連翹のような熱毒を中和する生薬、桔梗や牛
  牛蒡子などの炎症や痛みを取る生薬を配合した天津感冒片が用いられ
る。
 特に、金銀花と連翹には、抗菌作用のほか、抗ウイルス作用もある
ため、流感にかかった時はもちろん、まわりに流感が流行し始めたと
きの予防薬として服用することもできる。
受験シーズンは本番。流感を予防しながら、ベストコンディションで
頑張ってほしい。


路京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)
讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/01/30





インフルエンザに漢方!その1

板藍根

インフルエンザに板藍根

抗ウイルス作用がある生薬のなかで、最も注目を浴びているものに板藍
根{(ばんらんこん)アブラナ科松藍あるいはキツネノゴマ科馬藍の根}が
ある。中国では肝炎やインフルエンザ、日本脳炎、耳下腺炎(おたふくカ
ゼ)、帯状疱疹、扁桃腺炎などの治療に欠かせない生薬として重宝され
ている。
製剤としては、砂糖が入った甘い味のエキス剤がよく使われている。手
軽に飲めるので、かつて上海でA型肝炎が大流行した時、予防と治療に
大活躍した。現在でも、B型・C型肝炎のみならず、インフルエンザにも良
  く用いられている。この冬はインフルエンザが猛威を振るっているが、最
近日本でもエキスタイプで飲みやすい板藍茶が入手できるようになった
のはありがたい。
板藍根の葉の部分は大青葉(だいせいよう)といい、根と似たような効
果がある。抗ウイルス作用をさらに強めるため、板藍根と大青葉を合わ
  せて用いる場合もある。イボはこれまで「ヨクイニン(ハトムギ)」な
どで治療していたが、最近はウイルス感染によることが判ってきたので、
 板藍根と大青葉、紫根(しこん)などを合わせた青紫藍(せいしらん)合
剤のような処方が用いられている。
なお大青葉を水に浸し、石灰などで処理して取れる青い粉末状の色素
は、青黛(せいたい)と呼ばれる。青黛には殺菌作用や抗ウイルス作用
があるほか、抗ガン成分を含んでいるため、ガン細胞を殺傷する作用が
あるといわれる。このため慢性白血病にも用いられ、西洋薬に勝るとも
劣らない効果があるといわれている。


袁 世華(中国・長春中医学院教授)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1997/02/02





蓄膿症には炎症抑え通りよくする生薬を

鼻淵丸

蓄膿症には炎症抑え通りよくする生薬を

鼻の病気といえば、春先のアレルギー性鼻炎が話題の中心だが、蓄膿
症で悩んでいる人も少なくない。蓄膿症は、細菌の感染によって起こ
る副鼻腔の炎症で、頑固な鼻づまり、頭痛などを伴い、思考力にも影
響を与える。
 蓄膿症は、中国漢方の古典『黄帝内経』に、"鼻淵"として記載され
ている。「淵」には「深い」という意味があり、水の澱んだ状態を表し
ている。つまり、鼻淵とは、濁った鼻汁が多量にたまる病気というこ
とだ。
 蓄膿症の原因を中国漢方の立場からいうと、外因としては「風熱」
が考えられる。風熱とは、細菌感染による炎症のことである。治療薬
として、西洋医学では抗生物質を使うが、中国漢方の処方に鼻淵丸と
いう薬がある。
 鼻淵丸の処方構成は、大きく二つのグループに分類される。一つは、
蒼耳子や菊花、金銀花などの、炎症を抑える作用や抗ウイルス・抗菌
作用を持つ生薬。もう一つは辛夷や蒼耳子などの、鼻腔の通りをよく
する生薬である。
 香りの強い揮発性のある生薬は、鼻や肺など上部に作用しやすい。
たとえば、花びらや、蕾など、香りのある生薬を煎じると、その匂い
だけで鼻のつまりが通ることがある。さらに、ワサビを食べると、鼻
にツーンと独特の刺激がくるように、辛味のものにも鼻を通じさせる
作用がある。
 このように、花びらや蕾など体の上部に作用する生薬や辛味の生薬
が、膿汁を排泄して鼻のつまりを通し、鼻粘膜の炎症を改善してくれ
る。


路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/9/18





漢方漫歩特集 四季の養生法 その4

開気丸

お待たせしました!人気の開気丸を発売します。

ストレスに開気丸!胃腸の気を流す

前回は、ストレスによって肝の機能が低下した抑鬱状態について触れた。
一方、同じストレスを受けても、肝の機能が亢進する人がいる。若い人や、体力のある人に
多くみられ、この場合には反応が強く出て、イライラしたり、怒りっぽくなったり、攻撃的な精神
状態になりやすい。
このほか、消化器系にも異常が現れる。いやなことがあったり、ストレスが加わると、胃や
わき腹が痛む、ガスがたまって腹が張る、下痢や便秘をする、残便感がとれないといった症状を
呈する。
ストレスで神経をすり減らしやすい頭脳労働者や受験生、中間管理職などに、このような症
状に悩まされるケースが多い。西洋医学的には過敏性大腸症候群や胃腸神経症の一部によく
似ている。
こんな場合、単純に下痢どめや通便薬、鎮痛剤などを使用してもうまくいかないことが多い。
  まずは、うっ滞した気の流れをスムーズに流すことにより、胃腸の機能を調整することが先決
である。漢方薬では開気丸がぴったりだ。
開気丸には芳香性の揮発性成分を含む生薬が多く配合されている。木香、枳殼、厚朴、陳
皮などは、うっ滞した気をスムーズに流すことで胃腸の働きを整え、腸内のガスを取り除く作
用がある。さらに延胡索は、鎮痛作用に優れている。
名前のとおり、うっ積した気を開く薬、開気丸はストレスと緊張が多い管理社会で力を発揮す
る漢方薬だ。


路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/4/3





漢方漫歩特集 四季の養生法 その3

星火逍遥丸

新陳代謝を促進 逍遥丸で春の養生

漢方では、自然と人間との調和を第一として、自然現象と人体の生理を結びつけ
て考えるところに特色がある。
この「天人相応」の視点から、春の養生法を考えてみると・・・・・。
春は、自然界すべてのものが、のびやかに成長する時期である。これは人間についても
言えることで、身体の成長だけでなく、のびやかな精神活動が求められる時期でもある。
したがって、ストレスを上手にコントロールして、メンタルヘルスに努めることが、春の養生法
のポイントになる。
ストレスによって、最も影響を受けやすい臓器は肝である。肝は、身体全体の気(エネルギー)
  の流れを調整する役割を担っている。ストレスによって肝の機能が低下してくると、
気の流れが滞り、身体の各所に影響が出てくる。一般的には、消化器系の不調、疲労感
などを訴えることが多い。
肝を補い、気の流れをよくすることで、からだ全体の新陳代謝を促進する漢方薬に逍遥
  丸(散)がある。道教思想の大家・荘子は、仙境にわけ入って、のびのびと生きることを唱
え、その自由な生き方を"逍遥"と呼んだ。その名を冠した逍遥丸は、肝に栄養を与える当
帰や芍薬、うっ滞した気の流れをよくする柴胡や薄荷に、胃腸の働きをよくする白朮や茯
苓などを組み合わせた処方である。
うっ滞した肝の機能を回復し、のびやかな精神活動を取り戻してくれる逍遥丸は、春の
養生にピッタリの薬だ。


路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1994/3/27





漢方漫歩特集 四季の養生法 その2

勝湿顆粒

夏カゼには水分代謝高める薬を

夏カゼは、冬のカゼとは少し違う症状をみせる。頭重、発熱、鼻水といっといった一般
的な症状に加えて、食欲不振、嘔吐、下痢など消化器系統の不調を伴うことが多い。
日本では、クーラーの冷えによって夏カゼをひくことがあるので注意が必要である。
職場だけでなく、車、商店、家庭など、都会ではクーラーのないところを探すのが
難しいほどだ。夏はもともと皮膚の穴が開き、発汗によって体温調節を行っているた
一般的な症状に加えて、食欲不振、嘔吐、下痢など消化器系統の不調を伴うことが多い。
このとき、クーラーなどで体を冷やすと、開いている皮膚から冷えが入り込み、
夏カゼをひきやすい。
さらに冷房の中は空気が乾燥していることもあって、水分を多くとりがちである。
ビール、麦茶、冷えた果物、冷麦など、日本の夏は体を冷やす食べ物にはこと欠かない。
冷たいもののとり過ぎが脾胃(消化器系)の働きを低下させることは、以前にも触れた。
脾胃の働きが低下した状態では、体全体の水分代謝もうまくいかず、湿がたまって、
夏カゼ特有のムカムカや下痢などなどの症状に結びつく。
このタイプの夏カゼには、発汗によって体全体の水分代謝を高める作用をもった
「勝湿顆粒」がよく使われる。発熱やノドの痛みを伴う夏カゼには、天津感冒片を
併用するとよい。葛根湯のように発汗作用の強い薬は、この時期のカゼには慎重に
使ったほうがよい。


路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/08/08





漢方漫歩特集 四季の養生法 その1

麦味参顆粒

発汗による体液の減少を補う麦味参顆粒

夏は汗をかく。これも度を過ごすと、疲労倦怠感、息切れ、動悸など、さまざまな身体の
不調を引き起こすので注意が必要である。
中国漢方では汗を、からだ全体をみずみずしく保つ津液(水)の仲間と考えている。
血と津液(しんえき)をあわせて陰液と呼び、2つの間には密接な関係がある。
汗をかくと、身体全体の水分が減少し、同時に気(エネルギー)も消耗する。これは血
液の濃度や心臓の働きにも影響を及ぼし、心臓への負担を増大させる。
汗のかき過ぎからくる動悸、息切れなどは、心臓からの注意信号と理解したい。このことか
らも、夏の食養生のポイントは、体に水分を生む食べ物を上手にとることである。
  夏の中国では梅を好んで食べる。梅の薬効はいくつかあって、第1に、酸っぱいものは
唾液の分泌をうながし、体液を生み出す作用がある。第2に、収斂作用は汗腺を引き締め
て、汗のかき過ぎを抑えてくれる。第3に、梅のもつ抗菌・抗アレルギー作用は、食あたり
の予防にもなる。
薬用としては、梅の未熟果実を黒焼き(蒸し焼き)にした「烏梅」がよく使われる。中国では、
烏梅と山ざ子に氷砂糖を加えたドリンク「酸梅湯」がよく飲まれる。
中国でよく使われる漢方薬としては、元気をつける人参、収斂・止汗作用のある五味子(ごみし)、
体液を補う麦門冬(ばくもんどう)などの生薬からなる「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」がある。


路 京華(中国中医研究院広安門医院主治医師)讀賣新聞日曜版『漢方漫歩』1993/08/15


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