「脳内セロトニン」は、心と身体に影響を与えるとても大切な脳内物質です。
セロトニンは、体内にアミノ酸の一種であるトリプトファンという栄養素を取り入れることで合成される物質です。
トリプトファンが腸から取り込まれたあと、血液の中を循環し、腸や脳などトリプトファン水酸化酵素という酵素をもった細胞によってセロトニンが合成されます。
脳が興奮し過ぎることもなく、頭がボーっとして働かないという状態でもない、最適な覚醒状態に導いてくれます。
それは、脳のなかのセロトニン濃度が一定のレベル以上に保たれることで可能になります。
ドーパミン神経、ノルアドレナリン神経という暴走をしてしまいがちな神経を適度な興奮にとどめておくことがでます。
そして、現実的なやる気をつくりながら、心を常に冷静な状態にキープすることができます。
肉体の痛みを感じているのは「脳」です。
セロトニンは脳内で鎮痛剤の役目を果たし、痛みの伝導を抑えることができます。
その結果、肉体の一部で痛みがあることは認知されるけれども、それほど辛く感じなくて済むようになります。
セロトニン神経は、重力に逆らって働く筋肉「抗重力筋」につながる運動神経に軸索を伸ばし、刺激を与えています。
つまり、抗重力筋の働きを助けることで姿勢が整えられ、引き締まった表情もつくり出してくれます。
眠くなると、身体の緊張がなくなって瞼が落ちて来たり、口が弛緩してよだれが垂れたりするのは、脳内セロトニンの分泌が減少するからです。
交感神経が非常に強く活性するとストレス状態になりますが、セロトニンは交感神経を、朝スッキリ目覚めた時のような適度な興奮(1分間に心拍数が70~80回)に導き、自律神経の切り替えをスムーズにします。