ストレスの負けない栄養補給の話 次のようなことはありませんか
こころの疲れに栄養補給を!
もし、こんな状態があるときは、身体の疲れだけではなく、心(精神)もつかれているかもしれません。強いストレスにさらされやすい現代社会です。過剰なストレスは、体も心も大きな影響を及ぼし、誰もが“寝付きが悪い”“何もしたくない”“食欲がない”などの精神疲労・うつ状態を生じる可能性があります。
うつ状態は、心の弱さから生じるものではありません。うつ状態はストレスを抱えていて、心身ともに疲れている状態が続き、ついに、神経細胞の働きが低下した状態と言えます。(NHKきょうの健康2008) うつ状態はうつ病ではありません。 精神疲労・うつ状態には胸陽が大切ですが、疲れている脳への栄養補給もとても大切です。
疲れている脳へ、ミネラル・ビタミンを補給
眠りたい。食事をしたいなどの気持ちは脳の中でどのように伝わるのか?
精神状態・うつ状態に対処するためには、まず、脳の仕組みを知っておく必要があります。私たちの脳には、1000億を超える神経細胞が網目のように張り巡らされています。 この神経細胞に、“眠い”“食欲を出す”“やる気を出す”等の情報が脳内で流された結果、寝付くことができたり、食欲が出たり、やる気を出したりしています。つまり、脳内で情報が伝達され、行動に移ります。
神経細胞と神経細胞の間には隙間があります。この隙間を通って情報を流すためには、橋のない川で「渡し舟」が活躍するように、情報を運ぶ「渡し舟」が必要になります。 情報を運ぶ「渡し舟」のことを神経伝達物質と言います。 この神経伝達物質のおかげで、“眠気”“食欲”“やる気”等の情報は流れます。 神経伝達物質は、食べ物から摂取したアミノ酸、ブドウ糖などの栄養素から脳内で作られます。 情報を運ぶ「渡し舟」である神経伝達物質にはドパーミン、セロトニン、ATPなどがあります。
渡し舟の正体は、ドーパミン・ATP・セロトニンです。
情報を運ぶ「渡し舟」である神経伝達物質が脳内で不足すると、情報は円滑に流れません。 そのため、“よく眠れない”“寝付きが悪い”“何もしたくない”“やる気がどうも出ない”“食欲がない”等の状態に陥りやすくなります。 精神疲労・うつ状態とは、この情報を運ぶ「渡し舟」が不足傾向にある状態です。 顕著に不足している方がうつ病と言われています。
「睡眠物質」が足りなくなると、睡眠に不調が現れてきます
・・・・・注目される 神経伝達物質:ATP・・・・・ 情報を運ぶ「渡し舟」となる神経伝達物質として、ドーパミン、セロトニンなどが有名ですが、ATP(アデノシン3リン酸)という物質も神経伝達物質であることが発見されました(Nature1992) 脳内でATPが不足すると、情報がうまく流れず、“何もしたくない”“やる気が出ない”“寝付けない”といったうつ状態になりやすくなります。 脳内のATPは脳内に取り入られたブドウ糖からのみ作られますが、うつ病の方では、脳でのブドウ糖の代謝が、正常な方より、30%も低く、ブドウ糖からATPの作られる率が低下していることが示されました(医学のあゆみ 1992) 脳内のATPの不足が精神疲労やうつ状態を引き起こす原因の一つとされています。
NHKの「今日の健康」(2008)でも「うつ病は、基本的に」エネルギーが不足する病気です。」とあります。つまり、心身ともにエネルギーが不足しているため、“感情がわかない”“意欲がなくなる”等のうつ状態が生じます。 うつ病治療で「休養」を重視する目的は、エネルギーを作り出す体力を回復させるためです。
ATPは「渡し舟」であり、「エネルギー」でもあります。 脳内のエネルギーは、ブドウ糖からのみ作られますが、ブドウ糖から取り出されたエネルギーは、ATPに蓄えられてからエネルギーとして利用されます。ATPはエネルギーでもあるのです。 実は、この「エネルギー」のATPと、情報を伝える「渡し舟(神経伝達物質)」のATPとは同じものです。つまり、ATPは「渡し舟」としても活躍し、「エネルギー」として活躍する一人二役を担う優れものなのです。
「ATP」は一人二役
脳内のATPは、ブドウ糖からのみ作られます。 ATPを作り出すためには、亜鉛・セレン・鉄などのミネラルと、“神経ビタミン”といわれるビタミンB1・B2などの働きが必要不可欠です。 ですから、脳内でミネラル・びたみんB群が不足すると、ブドウ糖からATP(渡し舟+エネルギー)を作り出す力が低下し、ATP不足となり脳の働きを低下させます。 (医学の歩み 1992. BRAIN and NERVE 2007) つまり、脳の栄養不足は、“寝付きが悪い”や“何もしたくない”などの精神疲労・うつ状態を引き起こす原因の一つとなります。
「睡眠物質」が不足気味の脳内
うつ状態とは単なる心の問題だけではなく、栄養不足も関係しています。 精神安定のためには、脳への十分な栄養補給が欠かせません。 しかし、食生活の歪みにより、栄養バランスが乱れやすい現代人は、下の図のように亜鉛などのミネラルが不足する傾向にあります。 精神疲労・うつ状態には、ミネラル・ビタミン・アミノ酸補給がとても大切です。
エネルギー補給してぐっすり睡眠
・・・・・うつの原因は、95%は食事?・・・・・ 脳内の情報を運ぶ「渡し舟」である神経伝達物質が不足すると、脳の働きが低下して、“やる気が出ない”“よく眠れない”などのうつ状態を生じます。 この「渡し舟」であるドパーミン・セロトニンなどの神経伝達物質は、アミノ酸やブドウ糖を原料とし、ミネラル・ビタミンの働きによって脳内で合成されます。 ところが、インスタント食品のような加工精製食品を食べすぎて、栄養バランスが偏っている現代の食生活では、神経伝達物質を作るために必要なアミノ酸やミネラル・ビタミンが、脳内で不足傾向になります。 すると、脳内ではドパーミン・セロトニンなどの神経伝達物質が充分に合成されなくなり、脳内で神経伝達物質が不足し、うつ状態を引き起こしやすくなります。 実は、うつに悩む方の95%は、食事内容に問題があり、脳での栄養が不足していることが分かってきました。 この時、食生活を改善し、アミノ酸・ミネラル・ビタミンをしっかり摂取すると、神経伝達物質は充足し、うつ状態が改善することが報告されています。 (最新精神医学 2008 「うつは食物が原因だった!20009」)
ミネラル・アミノ酸をいっぱい摂ろう!
亜鉛不足はコルチゾールの過剰分泌を招きます 亜鉛不足の餌を与えられたラットでは、コルチゾールが過剰に分泌し、うつ様行動を示したという報告があります。 また、そのうつ様行動は、亜鉛を補給することにより正常に回復することも確認されています(Neurochemistry Interanational 2009)
うつ病の方は亜鉛不足 うつ病患者では血液中の亜鉛の濃度が低く、うつ病患者特有の脳波の乱れが、亜鉛の補給によって改善される報告もあり、亜鉛は抗ストレスミネラルと言われています(医実報告 2006)
出産や更年期の女性、糖尿病患者では、亜鉛不足の傾向が強く、亜鉛不足がうつ状態を生じさせる可能性が指摘されています。
牡蠣をいっぱい食べましょう