牛黄(ごおう)について

こちらでは高貴薬(こうきやく)と呼ばれている牛黄(ごおう)について書かせていただきます。どうぞご参考になさってください。

牛黄は牛の胆嚢にできた結石、要するに胆石です。   牛黄は1~4cmの不規則な球形あるいは角の取れたサイコロのような形をした赤みがかった黄褐色の物質で、手にとって見ると意外に軽く、割ってみると、木の年輪のような円心円状の層があります。              口に含んでみると心地よい苦味と秘かに甘みのあるものが良品とされています。

『第十五改正日本薬局方解説書』によれば、その薬理作用として、血圧降下作用、解熱作用、低酸素性脳障害保護作用、鎮痛作用、鎮静作用、強心作用、利胆作用、鎮痙作用、抗炎症作用、抗血管内凝固作用などが挙げられています。                        適用としては、動悸による不安感の鎮静、暑気当たりに対する苦味清涼、のどの痛みの緩解に粉末にしたものを頓服します。また、主として配合剤の原料とするとの記載があります。

牛黄が配合されている店頭の商品で馴染みが深いのは、救心や六神丸などの強心薬、宇津救命丸などの小児薬などがあります。                             また、風邪薬やドリンクにも配合されていて、知らずに服用しているかもしれません。

牛黄の働き 解熱作用

かなりひどい熱を発するような場合に用いられたようです。これは、牛黄がひどい高熱だけにしか有効でないということではなく、牛黄の作用が確実であったため、重病のときの解熱にしか使われなかったということでしょう。                       なにせ昔から牛黄はとてつもなく貴重な生薬であったわけですから、ちょっとした発熱などには使われなかったと考えるのが妥当でしょう。    近畿大学薬学部の久保道徳教授のように牛黄は単なる解熱薬ではなく、発汗解熱薬だと説明される先生もいます。                                 久保先生は漢方生薬が免疫系を賦活することにより病気を治すことを様々な実験で証明されている方ですが、牛黄も血流を盛んにすることによって発汗を促し、病気の原因となっているウイルスなどの異物を体内から汗と共に排泄し、さらに免疫能を亢進することによって治癒をはやめると説明されています。                             さらに牛黄には直接ウイルスを不活性化してしまうという作用もあります。        北京の中国友好病院の金恩源先生らは日本脳炎ウイルスを、兵庫県立東洋医学研究所の新井喜正先生らはチクングニアウイルスを使った実験でこれを証明しています。         要するに牛黄は、発熱という生体にとっての重要な生理的防御反応を抑制することなく、解熱作用を現すというすぐれた生薬であるといえます。                   単に熱を下げるだけの解熱剤ではないということです

牛黄の働き 循環器に対する作用

牛黄の強心作用は薬理実験などでは、それほど強いものではなく、牛黄の循環器に対する作用の中心は末梢血管の持続的拡張による降圧作用だとされています。   従来は強心作用が中心に考えられていましたが、現在では、末梢血管の拡張と、抗アドレナリン作用がその本体であろうと考えられています。           牛黄清心丸のような牛黄製剤の効能が高血圧の随伴症状の改善を謳っているのはまことに当を得たものであることがわかります。         ただ、残念なことは、牛黄のこのような効能は、現代の臨床例が十分ではないという理由で、表示できないということです。                            牛黄を使用した製剤をもつメーカーは、牛黄の素晴らしさを一人でも多くの人々に知らせるためにも、新たな臨床例を積み重ね、伝承されてきた効能を証明してゆく責務があるとおもいます。

牛黄の働き 鎮静・鎮痙作用

牛黄が『名医別録』に「小児百病…を療ず」と記載されています。                    わが国では主に小児の特効薬として、救命丸、奇応丸、感応丸などに配合され、現在でも使われています。  このような伝統薬は家族のありかたが従来とは変ってきたことに伴い、親から子へ、子から孫へとの伝承が途切れがちになることは否めません。          牛黄の素晴らしい効果を考えると残念なことといわざるを得ません。                   これらを裏付ける薬理作用は、カフェインやカンフルなどの興奮作用を抑制したり、ウレタンや溶性バルビタールの鎮静作用を増強することで証明されています。

牛黄の働き 利胆作用

牛黄の利胆作用は、多分これに含まれている胆汁酸によるわけですが、胆汁酸塩は脂肪の消化を促進するばかりでなく、腸壁を刺激して腸の蠕動を高め、緩下作用をあらわします。                   いろいろな有機物と結合して安定化するので解毒作用もありますし、中枢神経を抑制する作用もあります。  また、細菌の抑制作用や、ロシアの学者の発表によれば喘息や蕁麻疹などの疾患にも大変良いという話もあります。ともあれ、牛黄の胆汁酸成分も牛黄の多様な効能の一部になっていると考えられます

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