麝香(じゃこう)について

気の巡りを改善する生薬 それが「麝香」                          元気、正気、英気、覇気・・・私達が普段口にする「気」それは目にすることはできませんが、確実に存在するものです。そして、気を使う、気にする、気配りする、気に掛ける・・・など、気を「使う」言葉も色々あります。これら「気を使うこと」が過剰になると、心も体も疲れてきます。何故、使いすぎると、疲れてくるのでしょう。                               それは、気」とは、体内にみなぎるエネルギーそのものだけれど、無尽蔵に湧き出てくるものではありません。体中に気がみなぎるためには、胃腸が元気で睡眠もしっかりとれていなければいけません。 そして、みなぎっている「気」が、身体中をスムーズに流れていることが大切なのです。              よくいわれる「病は気から」とは、本来、気の滞りが病を生むことを指したものなのです。気の流れを大切にして、体も心も健康に保つ必要があるのです。                      ここでは、気をスムーズにする生薬「麝香(じゃこう)」について紹介します。

麝香(じゃこう)って何ですか?            麝香といってもあまり馴染みがなく、目新しい言葉として受け止められた方が多いのではないでしょうか。    それでは、麝香とは一体どんなものでしょうか?    我が国の日本薬局方では、麝香はシカ科のジャコウジカまたは、その近縁動物の雄のジャコウ腺分泌物を乾燥したものと規定されていました(尚、麝香はワシントン条約の発行以降、日本薬局方より除外されています)      ジャコウジカは、中国のチベット自治区、ネパール、ブータン等のヒマラヤ山脈を中心にアジア大陸の北部と東部の高山地にすむ動物です。      雄のジャコウジカは、普通の鹿のような角はなく、そのかわりに上あごから犬歯が二本長く口の外側に出ていて、それとわかります。                          体は普通の鹿より小さめで、一番大きなシベリアジャコウジカでも地面から肩までの高さは約55cm、小さなコビトジャコウジカでは41cmぐらいで、後ろ足の方が長く、大きな直立した耳と曲がった背中のためウサギを連想させるシカです。                    この雄のジャコウ嚢中の分泌物や嚢そのものが麝香ですが、英語ではマスク(musk)と言います。これはサンスクリット語の睾丸を意味するムスカ(muska)が語源になっています。ジャコウ嚢がそれらしく見えるために名付けられたようですが、睾丸ではありません。

              命を養う上薬 〈麝香〉のはなし 薬学博士 渡邊 武監修より

麝香の優れた薬能

麝香には微量で優れた芳香があります。その芳香がゆえに香料の王者として化粧品にも多く使われてきましたが、医薬品としても古くから珍重されてきました。  日本薬局方には強心作用、中枢興奮作用、抗炎症作用、男性ホルモン様作用、抗ヒスタミン作用などが効果として記載されていました。              中国最古の本草書である「神農本草経」には、「悪気を避け、鬼精物を殺し、三蟲(さんちゅう)、蟲毒、温瘧(おんぎゃく)、驚癇(きょうかん)を去る。久しく服すれば邪を除き、無寤(むご)、魘寐(えんみ)を治す」と書かれています。                      これは「人に害を与える悪気の働きから避け、鬼すなわち死人、精物すなわち物の怪のたたりをなくしてしまう作用がある。                           また、はじめに発熱して、しばらくして悪寒を発する一種ノマラリヤ様の病気や急に卒倒して痙攣するものを治すことができる。                          さらに、回虫、赤虫、蟯虫の三虫を取り除き、長期にわたって内服すると、人に悪い影響を及ぼす邪気(精神的なストレス)を取り除き、そのため夢を見て飛び起きたり、寝ていて悪夢にうなされるといったことがなくなる」と改訳されています。

李時珍は「本草綱目」の中で、「諸竅(しょきょう)を通じ、経絡を開き、肌骨(きこつ)に透り、酒毒を解し、瓜果(かか)の食積を消し、中風、中気、中悪、痰厥、癥瘕(ちょうか)を治す」と記しています。                                現代語に訳せば、「意識が混濁したり朦朧となったりしたものを回復させ、生命活動に必要なエネルギーである気血を全身に巡らせて、生体の恒常性を保っている経絡(気血の通り道)の滞りを開き、肌や骨に浸透して酒の毒を解毒し、食べたものが消化しないで滞っているのを消化させ、突然昏倒して人事不省となったり、また、突然手足が冷たくなり、顔面蒼白、精神混濁し、訳のわからない事を口走り、甚だしい場合は口をくいしばったり卒倒してしまうものや、ストレス等で食べ物などがうまく消化せず、上腹部や下腹部が痛むものを治す」ということになります。

麝香とアロマ・テラピー

近年、芳香によって病気を治療したり、予防するアロ・ラピーの考え方が導入されつつありますが、中国では千年以上も前から実践されており、その風習が「薬玉」として今日まで受け継がれています。                「薬玉」とは、麝香、沈香、丁子などの香り高い生薬をボール状に集めて錦の袋に入れ、五色の糸などで飾り付けた、いわば薬の玉で、不浄を払い邪気を避けるために、すだれや柱にかけたり身に着けたりしています。

香りのよい生薬には、殺虫、殺菌作用や鎮静作用などの薬効があることが、現代科学のレベルでも着々と解明されつつあります。                 香りの高い生薬の揮発性成分の効果が、臨床試験でも立証されはじめています。秋田大学医学部の長谷川直義博士は、香りを嗅ぎ分ける、いわゆる“開香”によって、心身症の治療を試みています。           博士は、三種類の香りを三ケ月以上身近におき、これによる効果を検討しておられますが、心身症、不定愁訴の人たちに極めて高い治療効果があったと報告されています。               さらに、香りの良い生薬は、神経系や呼吸器系に作用して脳がリラックスした状態になったときに出るα波を増やすことも判明しています。                     このように麝香は、牛黄、沈香、龍脳といった香りの高い生薬類の仲間ですが、中医学では芳香開竅薬(ほうこうかいきょうやく)のカテゴリーに分類されています。これは芳香性開竅薬の効用、効果に加えて、気の働きを良くする薬能を兼ね備えた生薬という意味です。     つまり、気の滞りをめぐらし、気の発散を助け、気が足りない(気虚)人を元気づけるといった生薬ならではの効果があるのです。このような優れた薬能から、麝香は最上級の気剤にランクされているのです。                                 現代社会にありがちなストレスによる気持ちの高ぶり、気持ちの落ち込みをコントロールして、私達の心と身体の健康を守ってくれます。

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