瘀血(おけつ)とは、血液の流れが悪くなった状態です
「瘀血(おけつ)」という言葉をご存知ですか? 瘀血とは一言で言えば、「血液の粘度が高くなり、血の流れが悪くなった状態」です。 私達の心や身体を伸びやかに保つためには、きれいな血液が生き生きと全身を流れていることが必要です。 血液は人間の生命を支える重要な物質なのです。 ところが、この大切な役割を担っている血液が、体の各所に不調をもたらす元凶になってしまうことがあります。 身体に害を及ぼすように汚れたり、滞ったり、固まりやすくなった血液のことを中医学では「瘀血(おけつ)」と呼んでいます。
「瘀血(おけつ)」の原因は?
運動不足、偏った食事、不規則な生活・・・瘀血の原因も様々です。 現代はまさに「瘀血の時代」といえます。なかでも現代人にとって一番の大敵は、精神的なストレスです。 血液の質と量を管理し、新陳代謝を行い、血液の貯蔵、循環をつかさどっているのは肝臓です。ストレスは肝臓の働きを悪くして瘀血の大きな原因となります。 さらに、食事が肉食に偏ると血液はネバネバとしますし、運動不足も過労も血流を悪くして瘀血の原因となります。
瘀血の要因は私達の周りに潜んでいます
人間のからだは血液が運ぶ酸素や栄養によって生き生きと保たれています。この大切な役割を担っている血液の流れが悪くなると、酸欠や栄養不足となり、内臓や脳の働きが悪くし、色々な成人病を引き起こします。 思考力も落ち、物忘れも多くなります。 皮膚は艶がなくなり、シミやあざができるようになります。さらに、筋肉がこわばり、肩こりや筋肉痛の原因となります。 瘀血がひどくなると、極端な場合、血管を塞ぎ血の流れを止めて、狭心症や脳梗塞をもたらすことがあります。 病気が長引くと血流が悪くなり、瘀血となり、ますます回復が困難になります。
血栓が形成されるプロセス
中医学には「未病を治す」という重要な考えがあります。 日頃の養生によって病気を未然に防ぎ、体調を崩す一歩手前の段階で食い止めようとするものです。 現代の西洋医学では、検査のデータが優先するあまり、体調の変化や自覚症状だけではなかなか病気として認めてもらえないところがあります。 検査データには現れない病気の前段階、つまり「未病」の人には多くの場合、瘀血の傾向が見られます。中医学では「瘀血」の考え方が重視されるのは、体の不調をいち早く見つけ出すための、貴重な手がかりとなるためです。
瘀血と様々な病気には深い関わりがあります
身体に発生した瘀血を除去する方法を、中医学では「活血化瘀(かっけつかお)」と呼んでいます。 これはドロドロになった血液をサラサラに変え、うっ滞を取り除き、スムーズに流れるように改善するものです。漢方薬の中には、血液の汚れを除去し、イキイキとよみがえらせる働きを持った活血化瘀(かっけつかお)の薬がたくさんあります。この活血化瘀の薬は、血液が滞るのを阻止する力を持った各種生薬で構成され、できてしまった瘀血を取り除くのはもとより、瘀血の発生予防にも優れた効果を発揮します。最近は肉食中心の食生活で血管の老化が早まり、若い人にも成人病が増えています。「人は血管とともに老いる」と言われています。活血化瘀の方法で、血液をイキイキと流れるように保つことは、老化予防に持つながります。
活血化瘀の方法でイキイキ血液!
瘀血の予防は毎日の生活が基本です。 適度な運動を行い、ストレスが溜まらないよう心がけましょう。さらに、十分な睡眠をとり、色々なものをバランスよく食べ、生活環境(特に冷暖房)に注意することが養生法となります。
【運動】 散歩・健康体操・ストレッチ運動・・・。その人の体力に見合った適度な運動は、血行を促進し、体の抵抗力を高めます。日々の生活の中にスポーツを取り入れ、身体全体の筋肉を動かすことで新陳代謝を活発にすることが、血流の改善にはとても良いのです。 寝たきりの人には、軽いマッサージをしてあげるだけでも血行促進効果があります。 リハビリが必要な方には、機能回復運動と共に血流を良くするツボや経絡を刺激します。 押さえて気持ちの良いところを指圧、マッサージするだけでも効果はあります。
【精神面】 精神面のアンバランスは「気」の流れを悪くし、「気」とともに流れている「血」にも影響します。 イライラしないよう、気持ちを常にリラックスさせることも重要で、緊張状態が長く続くようなときは、、趣味や親しい人とのおしゃべりなどによって気分転換をはかりましょう。 気や血のエネルギーが、身体のすみずみまでのびやかに行き届くようなイメージを持つことも大切です。
【食事】 イワシやサバ、アジなどの青魚、シシトウ、サヤインゲン、ほうれん草、トマト、紫蘇などの野菜には、血液をサラサラにする働きのあることがわかっています。 旬のころのイワシなら、毎日70グラム食べると血栓や堂みゃう紅花の予防につながります。これに予防効果のある野菜を組み合わせます。血液をサラサラにする効果は持続しません。 毎日、少量でも少しずつでも摂ってください。
運動・食事など日々の生活の中で予防に努めましょう。