更年期について その2

更年期とは、閉経前後それぞれの約5年間、合計10年間のことです。                     この時期に現れる体調の変化や不調を「更年期障害」といい、多くの場合、50歳前後がその時期にあたります。 閉経近くになると女性ホルモンの分泌が減少し、白髪や月経不順などの不調が強く表れます。          また年齢に伴い“気(エネルギー)”や“血の巡り”が悪くなるのも更年期症状が原因と考えられています。

ストレスや環境・性格も大きな原因の一つです。   人によって大きく異なる更年期障害の症状ですが、その要因はどこにあるのでしょう。    体が大きな変化を迎える40代は、生活環境などが更年期の症状を強くするケースも多いと言われています。この年代は、子供の受験、親の介護、仕事のストレスなど、自分を取り巻く環境の変化などが多い時期です。                                それが体に大きく影響して“気”や“血”の働きを狂わせ、様々な不調を引き起こします。

心と体、両方にアプローチしてバランスを整えるのが漢方治療               更年期における様々な症状に対して、中医学は一つの症状に1種類の薬を処方するのではなく、心と体、その人全体を見て、心と体の両方の不調に働きかける漢方薬を処方します。      その結果、“心と体のアンバランスな状態”を整えることで様々な不調を緩和していきます。 だから、その人に合った処方や治療ができるのです。

 精神的な鬱積が長引くと興奮症状が出現                           釣藤散がストレスの熱を鎮める                                                    中国漢方がよく分かる本 路 京華著

怒りは肝を傷つけ、喜びは心、悲しみは肺、恐れは腎、思いは脾(消化器系)を傷つけるといったように、中国漢方では喜怒哀楽の感情(七情)と各臓腑との間に強いつながりを考えている。       精神的なストレスの影響を、最も受けやすい臓腑は肝である。                  ストレスによる緊張状態が長く続くと、気の滞りが「感熱」や「肝火」といった熱症状を生むことがある。                                            堆肥(たいひ)を長く積んでおくと、内部に熱がこもって、燃えだすことがあることをご存知だろうか。それと同じように、精神的なうつ状態も長く放置すると熱を帯び、ひどくなると火に変わって頭部や顔面に出てくる。気分転換などによって、ストレス解消に努めることの必要性もこのへんにあるのだ。 こうした頭部や顔面の熱症状は、比較的体力のある人で、更年期障害、自律神経失調症、高血圧症、結膜炎などのときによく見られる。                               具体的には、怒りっぽい、イライラ感などの情緒の乱れに加えて、顔が赤くのぼせる、目が充血する、血圧が上がる、頭痛、めまいなどの頭部の症状として現れることがある。             治療には、熱を取ったり、気のめぐりを良くする薬を使わなければならない。           熱を鎮めて,肝本来の疏泄作用を取り戻すには、龍胆瀉肝湯や釣藤散が効果を上げる。

ストレスが長引いたときのプロセス

体のアンバランス「冷えのぼせ」

下半身や手足が冷えるのに顔や首がほてってのぼせやすいという症状は、更年期の女性に最も多い訴えですが、若い女性にもよく見られます。           西洋医学では治療法もなく、あまり重要視されていませんが、中医学では、冷え・のぼせは体内のアンバランスがある証拠で、主として2辰のタイプが考えられます。

1つは「気滞気逆(きたいきぎゃく)」タイプで、いわば自律神経失調型です。       このタイプはさらにイライラしやすい、感情の浮き沈みが激しい、感情がコントロールできないなどの症状が目立ちます。また、お腹が張る、便がすっきり出ないなどの症状も良く現れます。                                        このタイプには自律神経のバランスを整える「疎肝理気降逆(そかんりきこうぎゃく)」(気の流れをスムーズにして、昇り過ぎた「気」を下げる)の漢方薬を使います。有名な「逍遥丸」や「加味逍遥散」はその代表格です。月経前に冷え・のぼせなどの症状が強く現れることが多いので、月経前2週間は増量して服用すると効果的です。

もう1つは、「瘀血阻滞(おけつそたい)」タイプです。いわゆる血行障害型です。     血行を改善し、血管の収縮・拡張のバランスを整える必要があります。          中医学では「活血化瘀降逆(かっけつかおこうぎゃく)」(血の流れを良くして、昇った血を下げる)の薬が使われます。                               ファーストチョイスは婦宝当帰膠で、閉経していない方には特に良い薬です。このタイプの方は、冷え・のぼせの他に肩こりや頭重、頭痛や便秘も多いので、この婦宝当帰膠に通導散を加えて、便が少々柔らかくなる量に調節すると素早く効き目が表れます。          実際には、この2つのタイプが混じりあって現れることも多く、その時は加味逍遥散(かみしょうようさん)と婦宝当帰膠のセットが黄金コンビと言えるでしょう。

不眠と脳の使い過ぎ

「眠れないのはつらい。でも、睡眠薬に頼るのは嫌」という方に、ぜひ中医学による体質改善に取り組むことをお勧めします。中医学では、眠らせるより眠れる身体作りが重要と考えています。眠れる身体作りは、眠りのタイプによって違います。              女性に最も多いタイプは、「血虚不眠(けっきょふみん)」と言って、思い悩み、夜遅くまで勉強や仕事に追われたり、加齢などでなりやすいものです。眠りが浅い、よく目が覚める、夢が多い、眠ったつもりでも朝すっきりと目が覚めない、などを特徴としています。                            このタイプには酸棗仁(さんそうにん)や竜眼肉(りゅうがんにく)を主薬とする心脾顆粒(しんぴかりゅう)酸棗仁湯(さんそうにんとう)を良く使います。心脾顆粒は、朝夕服用し、酸棗仁湯は、寝る1時間以内に服用すると、より早く効き目が現れます。            日頃の養生としては、ナツメをお湯に入れてお茶代わりに飲むか、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)をお湯に溶かして飲むのも良いでしょう。                  このタイプは放っておくと眠りが浅いだけでなく、だんだん寝付きが悪くなり眠れないことでイライラして、時には動悸や胸苦しい、他にも手足の裏がほてったり、のぼせたり、汗をかいたりの症状が現れます。                               これは「血虚不眠」よりやっかいな「陰虚不眠(いんきょふみん)」になった証拠で、心脾顆粒や酸棗仁湯では手に負えないので、天王補心丹(てんのうほしんたん)を使う必要があります。ハスの実やユリの根を料理に積極的に使うのもお勧めです。               すぐに眠りが良くならなくても、根気よく2.3ヵ月頑張れば、かなりよく眠れます。

不眠その2 ストレスと過労

先に述べた不眠は思い悩む、脳を使いすぎる、年齢を重ねることによる「血虚(けっきょ)」「陰虚(いんきょ)」が原因の不眠で、女性によく見られる不眠の二つのタイプでした。                    この2つ以外に「気鬱化火(きうつかか)」の不眠があります。ストレスの多い方になりやすく、寝付きが悪くなかなか眠れないことに腹が立ったり、イライラしたり、頭が冴えて、全く眠気がなくなってしまうことがあります。やがて不眠自体がストレスになることがあります。         他に怒りやすい、便秘しやすいという症状もよく見られます。漢方薬ではストレスをやわらげ、心を鎮める龍胆瀉肝湯、温胆湯、柴胡加竜骨牡蛎湯がよく効きます。         特に、便秘が目立つときは大黄入りの柴胡加竜骨牡蛎湯、舌の苔が厚くベトベト下黄色の場合は温胆湯が良いでしょう。真珠粉(真珠の粉)や真珠母(真珠貝の殻)を少々加えれば、なおさら効き目が良くなります。商品では「ミンハオ」があります。

養生としては、坑ストレスに役立つ薄荷(ミント)、牡蠣(オイスター)や、アワビも利用すると良いでしょう。                                   さらに単なる心のストレスだけでなく肉体的な疲労を伴うこと(例えば、残業の連続、毎日時間に追われて休みが取れない、長期間の睡眠不足など)があれば、薬用人参と同じく疲労回復しながらも坑ストレス作用の優れた「シベリア人参(刺五加人参)」を一緒に服用すると効果が驚くほど早く現れることをしばしば経験しています。

その他メニューのご紹介

逍遥丸

「肝」をのびやかにして、ストレスに打ち勝ちましょう

婦宝当帰膠

女性特有のつらい症状を改善します

心脾顆粒

脳の疲れを和らげ、精神を安定させます

天王補心丹

更年期のうつ症状や不眠によく用いられます

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温胆湯

身体にこもった熱症状を取り除き、不眠症状を緩和します

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ミンハオ

不眠を改善する漢方薬と併用することで、不眠を緩和します

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シベリア人参

更年期のうつ症状や色々な不快な症状のに対しての抵抗力を高めます

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温胆湯

身体にこもった熱症状を取り除き、不眠症状を緩和します

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ミンハオ

不眠を改善する漢方薬と併用することで、不眠を緩和します

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