体質で「実熱」と「虚熱」の2種類がある
同じような症状でも、病気の性質が寒性か熱性かで、使う薬も違ってきます。 さらに熱性は、「実熱(じつねつ)」と「虚熱(きょねつ)」の二つに分けられることに触れてみたいと思います。
エネルギーが過剰な人や急性炎症の初期、酒や辛味など体を温めるものを多くとる人は、体内に熱エネルギーが停滞し、体全体の熱っぽさ、精神のたかぶり、皮膚炎といった熱性の症状が出やすくなります。 そのもとになる熱は、体力のある人によく見られるので実熱と言います。
一方、虚弱体質の人や、急性もしくは慢性疾患で衰弱傾向の人は、栄養分、津液(しんえき:体液)の消耗から体全体のバランスを崩し、のぼせ・ほてり・口の渇き・微熱といった症状が現れやすい。
これは体を冷やす作用のある水分が不足して、熱エネルギーを抑制することができず、体温が上昇したことによるもので虚熱(オーバーヒート状態)といいます。 虚熱による症状は、更年期や自律神経失調症、放射線治療などの際によく見られます。
実熱では舌の色が濃い赤で、舌苔は黄色くなります。虚熱でも舌の色は赤くなるが、水分が消耗するため舌苔はごく薄かったり、まったくなくなり、時には鏡のようにツルツルになります。 ひどい場合には、舌の溝のようなヒビ割れが出てくることもあります。 この状態を陰虚(いんきょ)と言います。 虚熱の治療には、抗生物質や漢方薬の解熱剤は無効です。
このような場合は、不足した水分(体液)を補い、微熱を除去する作用のある「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」がよく使用されます。