各処方にも症状に応じた加減が必要
今から約2千年前(後漢の時代)に著された『傷寒論(しょうかんろん)』の処方である葛根湯(かっこんとう)や小柴胡湯(しょうさいことう)は、現代においても良く使われる。 ただし、日本ではこれらを絶対訶化し、その後に生まれた新しい処方を認めようとはしない人もいるが、これは少々行き過ぎだろう。処方は、囲碁でいうならば定石に相当する。実際の臨床にあたっては、個々の症状に合わせて、薬物の分量を臨機応変に加減していく必要がある。 また、新しい処方(定石)も編み出してしかるべきだろう。 例えば、疲れやすくて元気が出ない、息切れする、食欲がない、といった気虚タイプの人に使われる基本処方に、四君子湯(しくんしとう)がある。 これを理気(りき:気をめぐらせる)作用のある“陳皮(ちんぴ)”を加えると異功散という処方になる。異功散に、袪痰作用のある“半夏(はんげ)”を加えると、六君子湯(りっくんしとう)になり、下痢やむくみ、痰が多いなどの症状を改善する作用が加わる。 六君子湯に、さらに理気作用のある、木香(もっこう)・縮砂(しゅくしゃ)を加えた処方が「星火健胃錠(香砂六君子湯)」であり、腹痛・腹部膨満感などに対する効果が強化される。いずれも消化機能低下に対する処方で、症状の違いにより使い分けていく。 いわゆる名処方といわれるものは、神が作ったものでなければ、偶然の所産でもない。 名医の豊富な臨床経験をもとに、一定の配合理論に基づいて科学的に作り出されるものである。
*星火健胃錠は現在イスクラ産業株式会社から、イスクラ健胃顆粒Sとして販売されています。