腎の衰えは腰痛となって現れやすい
以前、週刊誌で「腰痛3千万人の詩吟」という記事を目にしたときは、驚かされた。日本人の四人に1人が、腰に不安を抱えているということになる。 腰痛は人類が二本足で歩き始めた時からの宿命とはいえ、日本人の「弱腰」(失礼!)は深刻な状況だ。腰痛は気象条件の影響を受けやすい。特に冷えと湿気が痛みの原因となるため、冬場に悪化することが多い。 中医学の腰痛対策は、抵抗力・免疫力(正気)を強め、身体全体の機能を高めることで痛みの改善を図る。正気が体内に充実していれば、邪気を追い払うことができるという考えだ。 古来「腰は腎の府」という考え方あるように、腰と腎は密接に関係しているため、腎の衰え(腎虚)は腰痛となって現れやすい。 したがって腰痛の改善には、腎の強化と、気血を補うことで正気を高める治療法が欠かせない。 中国では、腰痛および下半身の関節の痛みには、独歩丸(現在は独歩顆粒)が良く使われる。 独活・防風・細辛(さいしん)には消炎鎮痛作用が、杜仲(とちゅう)・桑寄生(そうきせい)には腎を補い、腰・膝・骨・筋を強める作用があり、さらには気を補う人参・白朮、血を補う当帰・地黄・川芎などの生薬も配合されている。 この処方ならではの「体力増強作用+消炎鎮痛作用」は慢性の腰痛・関節痛・坐骨神経痛などに効果を上げる。