熱をとり、血の滞りを抑えて痔を治療
中国には「十人九痔」という諺(ことわざ)がある。十人いれば、そのうち九人が痔というたとえ話です。日本人にも結構多く、タクシー運転手のような座り仕事の人、出産後の女性、宴会の機会が多いサラリーマンなどに、痛いお尻を抱えて悩んでいる人が目立ちます。
痔の原因は色々あるが、中医学では一般的に「湿熱(しつねつ)」と考えています。 食べ過ぎ、飲み過ぎ、栄養過剰などの余って大腸、肛門の周辺に湿熱がたまり、気血の流れが悪くなるため痔核(じかく)となって痛んだり、出血したりするものです。 酒の飲み過ぎや辛いもの・甘いもの・脂っこいものの摂りすぎ、便秘、下痢、ストレスなども原因になることがあります。
西洋医学では、痔の原因を肛門付近の静脈の鬱結と捉えているが、これは中医学でいう「瘀血(おけつ:血の滞り)」にあたります。 したがって痔の存在は、身体に瘀血があることの一つの証拠といえます。 日本に輸入されている痔の内服薬としては、「浸膏槐角丸(しんこうかいかくがん)」が良く知られている。 大腸の熱をとり、出血を止める槐角(かいかく:エンジュの実)と「地楡(ちゆ)」を主薬に、肛門の炎症を抑える「黄芩(おうごん)」、湿を取り除く「防風(ぼうふう)」、局部の瘀血を改善し痛みを緩和する「当帰(とうき)」など6種類の生薬からなる丸薬で、早期に用いれば出血や痛み、腫れなどの改善に速効性があります。
痔は慢性化すると治りにくい病気だけに、早めの治療を心掛けましょう。