クーラーなどの冷えからくる生理痛に対して、一般的には鎮痛剤で対処することが多いようだ。しかし痛み止めは、その場しのぎの治療であり、習慣性となる恐れもある。 冷えを特別な病気とは考えない西洋医学に対して、中医学ではこれを重要な症状の一つとして捉え、色々な治療法が確立されている。 中医学には「血は温めることを喜び、寒を嫌う」という考えがある。血液が体内をスムーズにめぐるためには、血液に一定の温度が必要である。生理中に、クーラーにあたったり、冷たい飲み物を摂りすぎるなどして体を冷やすと、血液循環が悪くなり、瘀血(血の滞り)を生じる。「不通則痛(通じざれば、則ち痛む)」という中医の理論もあって、お欠は痛みの原因になる。 冷えからくる生理痛は、黒っぽい月経、凝血(血の塊)、下腹部の冷え、月経周期の変調などを伴うことも多く、ひどい時には、不妊症の原因になることもある。 生薬としてはセリ科の植物である当帰がよく使われる。当帰には、血を補い生理を整える作用、血行促進によって痛みを止める作用があり、さらに現代の薬理研究では、子宮の緊張を緩和し痛みを鎮める作用があることが分かっている。 漢方処方では、この当帰に芍薬(しゃくやく)・川芎(せんきゅう)・阿膠(あきょう)などを組み合わせた「婦宝当帰膠」が効果的だ。