東洋薬行(とうようやっこう)の補中益気湯

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)のお話です。補中益気湯という漢方薬は皆さんを良く耳にしたことがあると思います。

とても効果が早く効き目を実感できるのが補中益気湯です。

                               タイトルに「東洋薬行」と明記しているのは、それなりの理由があります。                  漢方薬は自然界の植物、動物、鉱物から採集されます。 

これらの生薬は産地によって、採集された時期の気候による出来・不出来や、さらに生薬の加工方法(修治)によって品質が全く違ってきます(同じ漢方薬名でもメーカーによって効き目が全く違ってきます。)。  

漢方薬で使われる生薬は自然のものなので、供給量にも限度があります。

しかし、世界的傾向として、副作用の少ない・慢性病にも良く使われる漢方薬を求めるお客様が増えてきて、需要と供給のバランスが悪くなり、品質の良い生薬はますます値段が上がってきています。      

その結果、品質の悪い生薬も市場に出回るようになってきました。勿論、漢方薬の大切な点は「生薬の品質」です。

東洋薬行の漢方薬は、「生薬の品質」がとても素晴らしく、お客様から高い支持を受けている漢方薬メーカーです。

それは、生薬の栽培地、生薬そのものの品質、その加工法(修治によって最大限の効果上げることと副作用を防止する)などすべての面で、素晴らしいクオリティの漢方薬を作っているメーカーなのです。

なので、タイトルにはわざわざ「東洋薬行」という名前を入れました。

補中益気湯は気(パワー)を作る!

「気」は目には見えないけれど、体の中で色々な働きをしています。  

                                    「気」はよくパワーにたとえられていて、体の中では生命活動のエネルギー源として考えられています。 

体の中でどんな働きをしているかというと、推動作用(血や津液の流れを促進する)、気化作用(気から血へ変化、汗や尿の生成など)、防御作用(体の表面から外邪の侵入を防ぐ)、固摂作用(血管から血液が漏れる、汗や尿が漏れるなどを防ぐ)、温煦作用(体温を保ったりする)などがあります。  

これらの働きは、気というパワーが足りなくなったり停滞すると色々な症状が出てきます。 補中益気湯は、この「気」という目に見えない力を補う働きがあります。

気の働きをお話ししましたが、気は大きく分けて「先天の気」と「後天の気」の2種類があります。先天の気とは、両親から引き継がれた生まれながら備わっている気です。

もし、虚弱な子供が生まれた場合は、先天の気が少ないということになります。

補中益気湯は「気」を補う力があるとお話ししましたが、何故、気が不足するのでしょう? その前に「気」はどこで生まれるのでしょう。気の生まれる場所は、主に「脾(ひ)」と呼ばれる場所で作られます。この「脾」は「ひ弱」と言われるくらい、脾が弱ってくると色々あ症状が現れます。

例えば、食欲がない、お腹が空かない、疲れやすい、めまいや立ちくらみ、下痢や便秘、むくみ、手足がだるい、力が入らないなど多方面に現れてきます。

このような気虚の症状に使われる代表選手が「補中益気湯」です。

さて、「気」は脾で作られるとお話しました。ということは、「脾」にダメージが有ると気を作る力は弱ってきます。

どのようなことが、脾を弱めるというと常識的な養生を怠っっているときです。

例えば、食事をきちんと摂らない、食べ過ぎる、冷たいもの・生ものを食べ過ぎる、お腹を冷やす、疲れる、寝不足する、きちんと噛まないで飲み込む、味の濃いもの・辛いものを食べ過ぎるなどが考えられます。

「脾」と関係のないと思うことに、考えすぎる・気を使いすぎるなども、脾の力が落ちてしまいます。                    

何事も「やり過ぎる」というのは、ダメージがが大きいのですね。

◎ 補中益気湯の働き                                   補中益気湯は、脾気虚を改善する代表処方です。

元気がない、気力がない、疲れやすい、動きたくない、横になりたい、日中に眠くなるなどの症状に、お腹が空かない、食欲がない、食べるとお腹が張る、泥状便だったり反対に便秘だったりします。                        

また、胃腸とは関係のない感じですが、四肢がだるいという症状もあります。

補中益気湯には「昇提(しょうてい)」という働きがあって、めまいや立ちくらみを改善します。

補中益気湯が合う方は、人混みが苦手で、寝不足したりするとこれらの症状が悪化する方は、補中益気湯をお試しください                  

「補中益気湯」のお話

私の漢方相談薬局で取り扱っている漢方メーカーのひとつに「株式会社東洋薬行」があります。

ここの商品をお取り扱いさせていただいて、20数年になりますが品質の良さでいつも安心してお客様にお出ししております。

東洋薬行の他の漢方薬メーカーと違うのは、味が違う・香りが違う・生薬の取れる地域が厳選されている・原典に記載されている生薬を忠実に使っている(例えば、白朮と蒼朮を漢方薬ごとにきちんと使い分けている)など、良い点を上げたらきりがありません。

東洋薬行の惠木弘会長の著書に『効く漢方の正体 草隆社』があります。その中に「補中益気湯」について書かれていますので、ご紹介いたします

漢方薬をワクチンより効率よくインフルエンザを予防する漢方薬             皮膚の表面でウイルスを撃退する補中益気湯 では、インフルエンザに対して漢方はどう対処して免疫力を上げるのでしょうか。

東洋医学には「衛気(えき)」という言葉があります。 

食事と呼吸から生産される「気」のことで、外邪(ウイルス)を体の表層(皮膚や口腔粘膜)で食い止め、追い返すようにして排除する働きをするのが衛気なのです。           現代医学的に言い換えますと、白血球やキラー細胞などの免疫機能を指しているのかもしれませんが、この役割を担って表層を守る兵隊が衛気なのだと説いています。

東洋医学には別に「正気(せいき)」という概念があります。                       

正気とは邪気に対する抵抗力、あるいは健康を促進する力と考えられています。邪気とは病気をもたらす気で、主として六淫の邪(りくいんのじゃ)、すなわち風・寒・暑・湿・燥・火の6種類の気を指します。                                これらは自然界に常にある気で、正気の虚弱を衝いて人体に侵入し、その時点で邪気と呼ばれます。

前者の衛気を充実させる生薬が黄耆(おうぎ)と人参、生体機能を支える正気を表層まで導く生薬が柴胡(さいこ)と升麻(しょうま)、補気といって正気の充実を図るとされる生薬が白朮(びゃくじゅつ)、炙甘草(しゃかんぞう)、大棗(たいそう)、そして人参です。      

これらの生薬に加えて利尿作用のある陳皮(ちんぴ)と生姜(しょうきょう)、補血・活血(かっけつ)作用のある当帰(とうき)を10種類を組み合わせた処方が「補中益気湯」です。(黄耆・白朮・人参各4g、当帰3g、柴胡・大棗・陳皮各2g、炙甘草1.5g、升麻1g、生姜2g)。 脾胃(中)を補い、元気を増し疲労を回復する補剤の王者といわれ、漢方の中でももっとも有名な処方の一つです。                                 1日1~2回、補中益気湯のエキス剤を服用することによって、インフルエンザに対する免疫力は大幅に向上するはずです。

                  「効く」漢方の正体 恵木 弘著 株式会社草隆社

補中益気湯の効く症状                                    疲れやすい・元気がない・食欲がない・横になっていたい・朝起きられない・病後の体力が回復し  ない・寝汗が出る

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